書法の聖地・蘭亭
その7、最終回 

書  
書

 
昨年8月の書法の聖地・蘭亭の旅を終えて、
揚州空港~北京空港を経由し帰国の途に着きました。
 
揚州空港で搭乗手続きを済ませて、ふと見上げるとキラキラ光る大きなものが・・・
「石鼓文やぁ!」
2015年の夏から約一年間かけて石鼓文の十鼓あるうちの
「吾車第一鼓」と「田車第三鼓」を学んでいたのですぐに分かりました。
 
「あぁ、こんな風に作品づくりがしたい」
そう思って、愛用のデジカメに収めました。
 
師の教えは、「絵画のような(書の)作品づくりをしなさい」
 
書に興味のない方や「書はわからないから」と敬遠される方にも
「おもしろい」と感じてもらえるような作品づくりを目指しています。
 
おわり
 
参考資料:中国法書ガイド2(二玄社)、石鼓文(百衲本)(天来書院)
中國碑帖名品 吴昌碩書法名品(上海書畫出版社)
 
2020年3月 蒼圭


 

書法の聖地・蘭亭
その6、王右軍嗣 

 
王右軍嗣は清の康熙37年(紀元1698年)に建設し、
清の同治8年(1869年)に一度修理され、煉瓦と木の構造で、総面積は756平方メートル。
嗣内には墨池と言う四角い池があり、池の真ん中に「墨華亭」(1914年移建)があり、
一番奥には大広間があり、両側は長い回廊で、
回廊の壁には様々な「蘭亭序」の彫刻と蘭亭に関する刻印があります。  
私がいま学んでいるお手本には、木原先生の言葉が添えられています。
 
「漢代、三公山碑のもつ書品というか、香気は篆隷の過渡期のもので、
古い原始の人達のかすかな営みの中に新しい造形美を求めている気がうかがえる 研石」
 
先日のこと、先生からまた助言をいただきました。
「手と筆が一緒に動いてるなぁ」
 
次回(最終回)は、2020年3月15日  揚州空港出発ロビーの『石鼓文』です。
 
2020年2月 蒼圭

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「王右軍嗣 墨華亭」


 

書法の聖地・蘭亭
その5、蘭亭書法博物館 

 
蘭亭書法博物館は現在我が国最大規模の書道専門の博物館で、
唯一「蘭亭集序」をテ-マに全面的蘭亭書法と蘭亭文化を紹介する専門的な博物館です。
 
博物館の総建築面積は12,191平方メートル、3階建ての建築です。
1階は基本展示室、テ-マ展示室と貴賓室、地下1階は臨時展示室と珍品展示室、2階は事務フロアーです。
建物全体は紹興台門式の特徴を採用し、蘭亭の風致を尊重し、迫力ある簡素的、優雅な博物館です。
 
博物館に入ると広い玄関ホール。その正面に、なんと大きな「之」の文字。
これはまさしく王羲之の書きぶりと分かります。
 
今年は庚子年。「王羲之は、鼠のひげの筆で素晴らしい「書」を書いた」
と現地ガイドの方から聞きました。それで私も鼠の毛の筆を購入!
木原先生には「まだ、筆に負けてるなぁ」と言われています。
 
次回は、2020年2月15日 「王右軍嗣」の予定です。
 
2020年1月 蒼圭

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蘭亭書法博物館 玄関ホール 「之」


 

書法の聖地・蘭亭
その4、曲水流宴 

 
現在の曲水の場所は清の時代に移建され、1980年に再建されました。
長さは78メ-トル、幅0.8メ-トル、
永和九年(紀元353年)王羲之が友人を誘って曲水の宴の場面を再現したものです。
 
曲水の宴が催された頃の日本は古墳時代で、まだ漢字は伝わっていませんでした。
仏教が日本へ伝わったとされるのは、紀元538年。
漢字の歴史は三千数百年です。
 
次回は、2020年1月15日 「蘭亭書法博物館」の予定です。
 
2019年12月 蒼圭

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曲水流宴


 

書法の聖地・蘭亭
その3、蘭亭碑亭 

 
碑の高さは1.73メ-トル、幅1.02メ-トル、厚さ0.27メ-トル、碑の「蘭亭」二文字は清の康熙帝の真筆。
「文化大革命」の時、碑は破壊され、その後に修復したが、残字となってしまいました。
亭は四方形で煉瓦作り、単重屋根で、古くて素朴な優雅な建築です。
 
この碑の前に立ったとき、身体の中から感動が湧いてきました。
「コテンヲ ヤリナサイ」の意味が分からなかった私が、とうとう此処に来たか!
漢字三千年。これが私のはじめの一歩です。
 
次回は、2019年12月15日「曲水流宴」の予定です。
 
2019年11月 蒼圭

碑「蘭亭」

碑「蘭亭」


 

書法の聖地・蘭亭
その2、御碑亭 

 
清の康熙時代に建設し、1983年に再建され、高さ12.5メ-トル、八角の複重屋根作りです。
亭内の御碑の高さは6.86メ-トル、幅は2.64メ-トル、重さ約18トン、
碑の上部には雲と龍の浮彫があります。表は康熙帝直筆の「蘭亭集序」、
裏には乾隆帝が蘭亭游の時に書いた「蘭亭即事」の詩、
祖孫の二人の皇帝が同一の碑に真筆を残すのは世の中の一大珍事です。
 
圧倒的な御碑のありように、私は茫然として雲龍を見上げていました。
次回は、2019年11月15日「蘭亭碑亭」の予定です。
 
2019年10月 蒼圭

蘭亭集序

亭内の御碑。上部には雲と龍の浮彫があります。


 

書法の聖地・蘭亭
その1、蘭亭 

 
蘭亭は、中国浙江省紹興市南西13キロの蘭渚山麓にあり、
春秋時代の越王勾践がこの地に蘭を栽培し、更に漢の時代に駅亭が作られたことから、
蘭亭と言われるようになりました。
東晋の永和九年、書道家の王羲之が41名の名士を集め、
この地で流水の宴を催し、「天下第一の行書」の「蘭亭集序」を書き(注1)、
この為書聖と呼ばれることになり、蘭亭も書法聖地となりました。
歴史上、蘭亭の原跡は幾度も興廃と変遷を経て、現在の蘭亭は清の康煕時代、
当地の郡主瀋啓が明の嘉靖時代の旧跡をもとに再建しました。
蘭亭は「景幽」「事雅」「文妙」「書絶」の四大特長で国内外に名を馳せ、
現在は国の4A級観光名所、全国重点文化財に指定され、エリアには下記(注2)の観光スポットがあります。

以上、このページでは2019年8月の木原書会中国書道交流で訪れた「書法の聖地・蘭亭」を
パンフレットの解説文(注3)と、私が見た蘭亭の風景をご紹介していきます。
(注)は蒼圭が付しました。

  • :現地ガイドの解説「王羲之は鼠のひげの筆を使ってこのすばらしい書を書いた」
  • :「書法の聖地・蘭亭」のパンフレット。                  
       ほかにも7か所の観光スポットが中国語で紹介されています。      
  • :日本語訳は、中平永華氏。中平氏はボランティアで中国に同行、       
       物心両面で参加者をサポートしていただいています。          

2019年9月15日 蒼圭

蘭亭集序

御碑の表、康煕帝直筆の「蘭亭集序」。御碑亭については後述とします。


 

コテンヲ ヤリナサイ

 
私の書をみたある書道の先生が、私に助言をくださいました。それは、
「コテンヲ ヤリナサイ」。
でも、私にはその意味がにわかには分かりませんでした。
「古典を学びなさい」
そして、2012年4月から木原研石先生の書道教室に通いはじめて、
楷・行・草・篆・隷の五書体を学んでいるところです。
今年8月、木原書会の中国旅行と書道交流の旅にご一緒して、書の聖地・蘭亭へ行って来ました。
このページでは、この目で見てきた蘭亭をご紹介いたします。
2019年9月7日 蒼圭